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インタビュー企画の仕掛け人

(Fri Aug 03 12:00:00 JST 2012/2012年8月・9月号 Creativeが生まれる場所)

ターゲットの年配層をひきつけるよう投資先諸国の成長力を小説風に表現[ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント]
博報堂   金融ビジネス推進室 コンサルタント   鴻上 彩氏

鴻上 彩氏

世界経済の成長の中心となっているインド、インドネシア、中国の「今」をとらえた躍動感のある写真とショートストーリーを使ったゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの広告。読売新聞朝刊に今年5月16日、17日、18日の3日間連続で掲載され、企業株式などに投資するファンドといった金融商品の広告では珍しい手法が話題を集めた。プランニングからクリエイティブまでを担当した博報堂金融ビジネス推進室コンサルタントの鴻上彩氏に、企画のねらいとともに新聞媒体の特性を生かした金融商品広告について聞いた。

──今回の広告はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。

  最初に「面白いことをやりたい。ドラマティックな企画を提案してほしい」というオーダーがあり、「金融広告で今までにないものを望んでいる」と感じました。金融商品は目に見えず、わかりにくいものです。それをかみ砕いて伝えるとともに、「ドラマティック」をどう表現するかを考えました。
  投資商品を購入するような、資金に余裕のある方は、一般には50代、60代以上の年配者でしょう。お金があって知性のある人には、商品のダイレクトな紹介ではなく、インド、インドネシア、中国といったファンドが投資する国々の成長を感じてもらう方が、効果があると考えました。実際、毎日、新聞を読んでいるのは活字に慣れている方です。新聞小説の人気にもヒントを得て、小説のようなものにたどり着き、写真と文章という新聞媒体の特徴をうまく活用できました。

書く題材は現地取材から

──現地に赴いて、写真撮影に立ち会い、ショートストーリーを書かれたそうですね。

  ファンド商品の投資の対象となっている国々、成長を続けているインド、インドネシア、中国の「今」を写真でとらえました。この国々は何が支えとなって成長しているのか。各国の成長力の源泉となっているものに焦点をあてたのです。文章は実際に現地で感じたものを記者の感覚で、ショートストーリーとして書きました。

──お書きになったショートストーリーにはどんな意味がありますか。

  海外にかかわる商品のため、女性より男性の関心が高いと考え、年配の男性読者に共感していただける内容を考えました。インドのストーリーでは「先輩の背中を見て、人混みをかきわけて電車に乗った」と表現し、50代、60代の男性がかつて海外赴任先などで「そういう経験があったな」と思っていただけるようにしたのです。さらに広告の写真からも現在の「成長」を感じることで、ファンド商品を通じてその国々に投資していただければ、と考えました。

──結果として金融商品の広告で珍しい取り組みとなったのですね。

  今回のように、金融商品を写真と文章で表現するという手法を使えば、過去に一度も投資したことがない人もひきつけることができると考えています。すぐに効果が出なくても、広告を見た方が、少しでも思い出してくれればいいのです。金融商品の広告ではディスクレーマーと呼ばれる注意文言を必ず掲載しなければなりません。今回も注意文言を広告下段に掲載していますが、金融商品になじみのない方に対して、上段の写真とショートストーリーからひきつける狙いもありました。
  金融商品は、マーケットの環境が販売動向に大きく影響し、広告効果は測定しにくいところがあります。今回の商品も売り出しが、グローバルの株式市場が悪い時期と重なりましたが、広告は継続性が重要で、必ず浸透して効いてきます。
  また、広告で使ったコンテンツをさまざまな形で二次利用することも大切です。冊子にしてセールスツールとして活用し、店頭用のパネルにもできます。新聞掲載されたことで、それぞれがより良いものに見えるでしょう。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

5月16日 朝刊

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

5月17日 朝刊

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

5月18日 朝刊

商品内容の理解を促す

──金融商品の広告と新聞媒体の特性とはどのような関係があるとお考えですか。

  金融商品になじみのない方に商品内容を理解してもらい、投資に向けて気持ちを持っていけるかどうかに広告の意味があります。そのためにはクリエイティブがとても重要な役割を持っており、媒体の特性をうまく利用することが大切です。
  実際、金融商品の広告は新聞媒体の活用が有効だと考えています。教養を要する商品で、かつ商品の購入を検討するのは年配の方です。年配の方が朝、時間を使って読んでいるのは新聞です。グローバルでの経済成長に対して理解があるのは高い教育を受けて教養のある方であり、そういう方は活字に強いので必ず見ていただけるでしょう。

──コンサルタントとして今回の広告制作にかかわりましたが。

  現在、コンサルタントという形で、営業でもクリエイターでもない位置におり、今回はクリエイティブディレクターかつ、プランナー、ライターでした。一人でクリエイティブと媒体の両方のプランニングを担当しました。毎日、新聞を読む人、活字が大好きな人に向けて、クリエイティブは新聞紙面と連続性のあるものを考えることができたのです。結果として、より新聞の媒体特性を存分に生かすことができたと思っています。特に金融広告はまだまだチャレンジできることがあり、とてもやりがいがあります。

鴻上 彩氏

国内外の証券会社、銀行、生命保険会社、運用会社にて、リテール・セールス、リテール・マーケティング、広報活動などの業務に従事した後、博報堂に入社。「金融+マーケティング」の知識・経験を生かした金融機関向けのコンサルティングを専門とする。